快生館について
※以下、収録された1次資料(文書や動画)はすでに公開されたものです。
【事務監査請求の概要】
❶快生館のワークスペース事業の収支について、令和6年8月7日に情報開示請求を行ったところ、2024年度分を含めて、売上、経費を抽出した結果、約2億円の赤字という結果でした。
❷しかし、令和6年古賀市議会第3回定例会の秋吉市議の一般質問では2024年までの予算を含め、約3.7億円の赤字という説明がありました。
❸情報開示請求が正しく開示されたのか、経費の詳細、また雇用創生と言いながら、運営委託会社が古賀市の会社ではないため、適正に選定されたのか監査を要望いたします。
【事務監査請求結果に対する市民の会の考察】
快生館について
リニューアルオープンした快生館について、今までに古賀市が負担した費用全てが分かる資料自体が不存在だった。
→税金を使用した一大プロジェクトでありながら、その収支をまとめた資料がないとのこと。
一大プロジェクトでありながら、どれだけ税金を使用したか把握していないのか?それ自体が大きな問題である。
結局、情報公開で作成した約2億円の赤字の資料と秋吉市議が一般質問で使用した約3.7億円の資料の差異の詳細について、監査で全く触れていない。
そもそも情報公開で作成した約2億円の赤字の資料がどこまで正しいのか?監査で全く触れていない。
事務監査請求で、経費の詳細を求めていたが、監査で全く触れていない。
快生館について、市議会で税金投入累計4億2千万円の効果についての質問があり、市長は時期を考え、数字を含め説明すると回答しています。→できるだけ早く、説明してほしいと思います。
【市民の会としての見解について】
【快生館の税金投入累計4億2千万円の効果?】
市議会で市長は時期を考え、数字を含め説明すると回答しています。
←できるだけ早く、市民の皆様に快生館の収支や効果について説明していただきたい。
【事務監査請求結果 抜粋】
1 請求の要旨
「割愛」
2 争いのない事実
快生館は、薬王寺地区に存する、市内で唯一の温泉法に基づく温泉を有する旅館であったが、令和2年5月に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け休業状態となった。
⑵ ワークスペース事業について
国は、サテライトオフィス等の施設整備・運営及び地方創生に資するテレワークの推進により地方への新たなひとの流れを創出する地方公共団体の取組を、地方創生テレワーク交付金等により支援していた。
⑶ 快生館ワークスペース事業
市は、前述のとおり休業状態となった「薬王寺温泉」という重要な地域資源が失われることを危惧し、快生館をインキュベーション(新規創業の支援、新ビジネスの創出)施設として再生し、古賀市への移住等を促す新たな取組を展開するために活用す
ることとした。市は、上記⑵記載の国からの交付金等も活用しながら、令和2年度から快生館を借り受け、令和2年度から令和3年度にかけてリノベーションを行った。
その後、公募型プロポーザル方式で選定した株式会社スマートデザインアソシエーション(現:株式会社SALT)が令和3年10月に運営を開始した。
⑷ 施設の運営委託の業務内容
快生館の運営委託の内容は、開設準備業務、コワーキングスペース・オフィススペース・フリースペース・浴場部分の管理運営業務、清掃業務、セキュリティ対策、利用者の安全確保、緊急時の対応、施設の利用促進等を行うことにより新規創業支援や
新ビジネス創出を促進するインキュベーション事業を行うこととされている。
3 監査の結果
監査委員としては、請求の要旨③及び令和7年3月19日に実施した意見聴取の内容を踏まえ、情報開示が正しく行われたのか、また、運営会社の選定の適否について監査し、本件各事務に違法又は不当な点がないかを検討する。
⑴ 情報開示が正しく行われたのかについて
ア 認定した事実
(ア)市政情報開示請求について
令和6年8月7日に████氏を請求者として、古賀市長(所管課:総務部経営戦略課)に対し、「2021年11月にリニューアルオープンした快生館について、今までに古賀市が負担した費用全てが分かる資料(リフォーム費用や月別の収支など)」の市政情報開示請求がなされた。しかし、請求者が求める資料自体は不存在だった。これは、市政情報開示制度は現存する資料を提出することが原則であり、開示請求を受けた後に新たに資料を作成することは予定されていないためである。その後、市は、請求内容の補正を行うことで提供できる資料があると判断したことから、請求者との調整のうえ、「今までに古賀市が負担した費用全てが分かる資料(リフォーム費用や月別の収支など)」の部分を「今までの決算資料、運営実績資料」に補正し、令和6年8月21日に開示決定がなされた。
開示された内容は、
・令和2年度古賀市決算に関する資料(167、168ページ)
・令和3年度古賀市決算に関する資料(77~80、173、174ページ)
・令和4年度古賀市決算に関する資料(75~78ページ)
・令和3年度快生館運営実績 快生館売上(税込)(令和3年度)
・令和4年度快生館運営実績 快生館売上(税込)(令和4年度)
・令和5年度快生館運営実績 快生館売上(税込)(令和5年度)
である。
開示後、請求者からの求めもあり、開示資料について説明を行った。
(イ)令和6年古賀市議会第3回定例会の秋吉市議の一般質問について請求の要旨③の「令和6年古賀市議会第3回定例会の秋吉市議の一般質問では2024年までの予算を含め、約3.7憶円の赤字という説明がありました。」
とは、令和6年9月10日に行われた令和6年古賀市議会第3回定例会の秋吉市議の一般質問において使用された資料のことを指している。
イ 監査委員の判断
請求者との話し合いによる補正により、請求対象となる資料が特定・開示されていることから、情報開示の手続に違法又は不当な点はなかったと判断する。
なお、請求の要旨③において、「令和6年8月7日に情報開示請求を行ったところ、(略)約2億円の赤字という結果でした」「秋吉市議の一般質問では(略)約3.7憶円の赤字という説明がありました」と言及されている。この点について、前者は、開示された資料を基に請求者が積算したものであると認められる。これに対し、後者については、請求者が市政情報開示決定を受けた資料と同一のものを秋吉市議が使ったかどうか不明である。したがって、金額に違いが生じていることが、開示請求手続に原因があるとは認定できないことから、本件事務に違法又は不当な点があるとは認められない。
⑵ 運営会社の選定の適否について
ア 認定した事実
(ア)運営会社の選定方法について
運営会社の選定に当たっては、公募型プロポーザル方式で選考を行い、選考に際しては、古賀市インキュベーション促進委託公募型プロポーザル【実施要領】、令和3年度古賀市インキュベーション促進委託要求水準書、古賀市インキュベーション促進委託公募型プロポーザル審査基準等に基づき実施している。
【実施要領】の参加資格の要件及び契約締結に至るスケジュールは次のとおり
である。
・参加資格の要件
本プロポーザルに参加しようとする者は、委託業務を効果的かつ効率的に実施することができる法人又は複数の法人で構成される団体で、次に掲げる事項を満たす者とする。
なお、申請書が受理された場合でも、要件のいずれかを満たしていないことが判明した場合、要件を満たすまで参加事業者としては取り扱わないものとする。
① 古賀市一般(指名)入札参加資格等に関する規程(平成9年4月告示第27号)第3条に規定する令和3年・令和4年度一般(指名)競争入札参加資格者名簿「物品・役務」(その他役務)に登録されている者であること。
ただし、本件に限り、同登録の申請を受理された者でも可能とする。
② 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の4第1項及び第2項に規定する者に該当しないこと。
③ 本市から古賀市指名停止措置要綱(平成18年3月告示第40号)に基づく指名停止を受けている期間中でないこと。
④ 会社更生法(平成14年法律第154号)に基づく更生手続開始の申立て又は民事再生法(平成11年法律第225号)に基づく再生手続開始の申立てがなされていない者。ただし、更生手続開始の決定又は再生計画認可の決定
が参加申込書提出期限以前になされている場合はこの限りでない。
⑤ 暴力団排除に関する特約条項第1条第1項各号のいずれにも該当しないこと。
⑥ 本事業を遂行するために必要とされる業務経験等を有した者を従事させることができる者であること。
⑦ 個人情報等の機密情報の取り扱いに係る社内規定を整備し、その実質的な運用が行われていること。
・スケジュール
令和3年 7月12日 古賀市インキュベーション促進委託公募型プロポーザル実施の公告(古賀市公告第27号)
古賀市公式ホームページで公表
令和3年 7月16日 上記プロポーザルに係る質問書受付期限
令和3年 7月21日 上記プロポーザルに係る質問回答日
令和3年 7月28日 参加申込書提出期限
令和3年 8月11日 企画提案書等提出期限
令和3年 8月13日 一次審査(参加資格要件審査)実施及び結果通知
令和3年 8月18日 二次審査(プレゼンテーション審査)実施
令和3年 8月19日 二次審査結果通知及び古賀市公式ホームページで
の結果(得点と順位)の公表
令和3年 9月 1日 契約締結
(イ)運営会社の選定に至る経過について
参加申込書提出期限及び企画提案書等提出期限までに2社申込みがあり、一次審査では実施要領に示す参加資格の要件等を満たしているか審査を行い、2社とも通過した。
二次審査ではプレゼンテーション審査(プレゼンテーション60分、質疑応答30分)を実施。審査にあたり古賀市インキュベーション促進委託公募型プロポーザル選考委員会を設置し、企画提案の内容について総合的に評価を行った。この選考委員会は、評価を行う選考委員として職員6名のほか、オブザーバーとして専門分野に精通する学識者及び団体からの推薦者3名で組織された。評価は採点方式で行い、その選考基準として、「各委員の合計点数を平均し、点数の大きい順番で順位をつける。なお、最高得点が複数ある場合は、ランクA(B)の項目が多い者を最優秀者として選考する。ただし、合計点数の平均が150点に満たない場合、最優秀者として選考しない。また、ランクFの項目が1つ以上ある場合は、合計点数の平均が高くとも、選考しない場合がある。」を設定していた。
二次審査の結果、株式会社スマートデザインアソシエーション(現:株式会社SALT)が、平均点が212.0と合計点数の平均が最も高く、またその他の選考基準も満たしており、受託候補者として選定された。その後契約内容等の協議を行い、市と株式会社スマートデザインアソシエーション(現:株式会社SALT)は、令和3年9月1日から令和8年3月31日までの期間でインキュベーション促進委託契約を締結している。
イ 監査委員の判断
古賀市インキュベーション促進委託における業者選定に当たっては、良好な施設の管理及び運営の計画や地域と連携した施設活用等、専門的知見と技術が求められることから、単純な価格競争による業者選定ではなく、事業者の創意工夫を活かした提案を取り入れる公募型プロポーザル方式を採用し、古賀市内に限らず、広く募集したものである。
実際の運営業者の選考過程においても、前述のとおり選考基準を示すとともに適宜公募及び公表等を行い、かつ選考委員会に外部のオブザーバーが関わるなど、選考の透明性、公正性の確保に配慮しながら行われたことがうかがえ、違法又は不当な点は認められず、本件運営会社の選定は適正に行われたものと判断する。
4 監査委員の意見
本事案で論点となっている快生館は、市の施策の一環として運営しているインキュベーション施設である。その施設運営については、市議会に対し説明を行い、事業費に係る予算の議決を得て実施しているところであり、快生館の運営を委託する業者選定も適正に行われている。その運営委託の契約期間は令和8年3月31日までと現時点で継続中の事業であり、監査委員としては、施策の目標達成に寄与するよう、また事業目的等に沿った運営を行っていただくよう望むものである。